できたてガパオライス

ゆすらの日常。毒にも薬にもならないことばたち。

2021-01-01から1年間の記事一覧

夜景

夜の街にひしめく光を、神様は綺麗だと思うだろうか。 私たちがこれをあたたかいと思うのは、明かりの灯る家を知っているから。暖炉の薪が燃える音、湯気を立てるスープ、家族の笑い声。それら全部、神様には何も関係なんかなくて、だから雑音のようにその目…

ユーザインタフェース

泣いていない人は泣いている人を慰めなくちゃいけません、人と明るくお話をしなくちゃいけません、みんなにやさしくしなくちゃいけません。どれも義務ならみんなうまくそれができるように、かみさまは私たちをつくるべきだった。人間はやたらとルールが多い…

BUMP OF CHICKENが胸に響かなくなった

BUMP OF CHICKENについて、かつてこんな記事を書いた。 https://note.com/ewis_0411/n/nfd0e0feab979 これをしたためてから1年とすこし。その間に、いろいろなことがあった。ベーシスト・チャマの不倫発覚、そして活動休止。NHK朝ドラの主題歌への抜擢。つい…

華金マリッジブルー

法を犯す勢いで時間外労働が積み上がったので、そろそろセーブしろとのお達しが出た。残業時間が毎日平均3-4時間ずつ減り、心身の調子が元に戻りつつあるのを感じている。 金曜の夜。20時には最寄りに着けそうだと連絡すると、めずらしく同居人から「待って…

愛>正論>やさしさ

ここ数日、心の中で正論を振り翳しては人を殴っている。何度も何度も何度も、何度も。 もともと、感情より理性で物事を考えるタイプだ。それは時に人を救い、時に人を傷つけるものだと、頭ではわかっている。それでも私の精神は、人のこころを無視した正しさ…

東京

身体と心がそれぞれの自我を得たまま、もうずっと、互いを無視して日々が過ぎていく。どちらの悲鳴も、ついでに怒りも悲しみも押し殺して、そうして息のしやすくなった世界には、花は咲かないし月も昇らない。東京に星も月も見えないのは、みんなそれと引き…

雲井の滝

滝を切りとって持ち歩いている。 うまくことばにできないことがたくさんあって、うまく笑えないのもいつものことで、そんな時、私は私だけの滝の流れる音を聴く。それは勢いよく流れて、力強く跳ねて、でも誰のことも傷つけない。流れ続ける水の、そのすべて…

ハミング

人のいなくなった街のこと、死んだ街なんて言って、みんなすぐ主語をうやむやにして、怖くないふりをしている。街ははじめから、ほんとうは静寂で、誰もしゃべらなかったらどこかの国の砂が流れる音まできっと聞こえるはずなんだ。 生まれる前の胎内は、どん…

ゆで卵を下手に作る才能が有り余ってる

いつもならお昼まで寝ている土曜日の朝、めずらしく空腹すぎて7時に目が覚めた。冷蔵庫に卵があるのを見つけ、先月同居人がおいしい味玉を作ってくれたことを思い出す。あの味を再現しようと思ったら謎のやる気が湧いてきて、意気揚々と作り始めた。 4つ茹で…

呪術廻戦履修チャレンジ

アニメとかドラマの一話の雰囲気が苦手だ。起承転結でいうと起。絶対何か起こるのに平和っぽさ出してくるし、登場人物のキャラが掴めないし、展開も読めない。クラス替えがある新年度くらい怖い。 なのでシリーズものの作品をなかなか観始めることができない…

両片想いのたちの悪さよ

1年半ほど前、職場のお兄さんといい感じになった。もともといいなあくらいに思っていた人だったので、飲み会で言葉を交わしてから仲良くなるのは早かった。その時私には付き合っている人がいたけれど、お兄さんは彼氏と似ているようで異なるタイプで、そんな…

前世夭逝してる説

人生一回目だと、ずっと思っていた。理解は遅いし手先は不器用だし、周囲がなんてことなくこなせることも自分だけ失敗したりするから。私は人生一回目で、きっとみんなは何回も転生しているベテラン。そう割り切らないとやってられなかった。 ただ、最近思う…

表情の多様性を認めろ

表情が感情ほど動かない。ついでに声色にも感情が乗らない。幼い頃から、不機嫌だと勘違いされることがよくあった。学校帰りにすれ違った近所のおばさんには体調不良と思われてはちみつのど飴を持たされ、帰ったら緑茶でうがいするよう言い渡された。サーク…

シュークリーム

シュークリームはセブンのがいちばんうまいんすよ、クリームがたっぷりで。シュークリームをうまく食べるコツは、ひっくり返してかぶりつくことです、それだけって思うでしょ?騙されたと思ってやってみてくださいよ、まじでこれだけなんですって。 後輩が教…

溺れる

しょっぱいポテトをメープルシロップに浸したとき、それは暴力で、だけど臆病なぼくを世界に連れ出してくれた強引なきみの手は、あれはやさしさで、ぼくにはその境界がひどくあいまいに思えた。たのしそうな弟に喧嘩をやめてとは言えないし、真奈ちゃんは首…

やさしいきみだけを信じる

誰が誰を好きとか、嫌いとか、そういう話を何度聞いても覚えられない。大学で所属していた吹奏楽サークルは、サークル内恋愛が多くて、それはつまりサークル内失恋やサークル内浮気、寝取り寝取られが多いことを意味していた。4学年で60人前後、4年間所属し…

衣を纏う

ファッションにあまり興味がない。買う時も、着替える時も、服を選ぶという行為がひどく億劫に思える。何かを身につけている、という状態が、あまり好きではないのかもしれない。長袖よりは半袖が好きだし、バッグは両手が空くリュックが好きだし、なんなら…

未開封ナンプラー

年末頃からゆるやかなタイ料理ブームが続いている。はじまりはガパオライスとグリーンカレー。そこから、マッサマンカレー等タイカレー全般、カオマンガイと変遷を遂げ、今はガパオライスに戻ってきた。ご飯の選択肢にこれらがあると、つい手に取ってしまう…

ジャイアントコーンの秘密

1億年ぶりにジャイアントコーンを食べた。(オタクなので往々にして主語がでかいことは許してほしい) 幼い頃に何度か食べた記憶もあるが、ここ数年はカロリーが気になってずっと敬遠していた。最近になって久々に食べたくなり、ウィスキーで判断力が鈍った先…

あずきバー一箱6本入り

箱アイスはロマンだ。冷凍庫に入っていると思うだけでわくわくするし、一つあたりがバラ売りのものより小さめなのでカロリーも少ない。強いて欠点を挙げるとすれば、アイスに手が伸びがちになってしまうことくらい。 あずきバーを箱で買った。食欲がわかない…

温泉街のくじ引きとトルコ料理屋の笑顔プライスレス

草津温泉に行ったとき、お土産屋さんでくじを引いた。 店先には大きなテディベアがおり、1回550円のくじにははずれがないようだった。 1等 くま(大) 2等 くま(小) 3等 店内で使える商品券500円分 正直、くまが当たっても商品券が当たってもうれしい。迷…

病的スタディズハイとダメンズキャッチャー

勉強がしたくてたまらない衝動に襲われることが、昔からよくある。ワーカーズハイならぬ、スタディズハイ?要するに、勉強がしたくてたまらなくなる。 その衝動が出ているときは、残業後に深夜のファミレスへ自転車を飛ばして徹夜で勉強したり、仕事疲れでほ…

愛は食卓にあるなんて言うなよ

noteより肩ひじ張らないことばたちを吐き出す場所がほしくて、はてブロ開設してみた。と言っても、今のところ明確な使い分けを考えられていないので試験的に。すぐに消しちゃうかも。 ・・・ エッセイを書く予定があり、くどうれいんさんの『わたしを空腹に…

郵便局はいつもやさしい

郵便局の空気が好きだ。 休日や夜を知らない郵便局の窓口は、昼下がりの街の穏やかさを正しく反映していて、地元の空気を思い出させる。オフィス街にある郵便局はもう少し忙しないかもしれないが、住宅街にあるそこに流れる時間はとてもやさしく、ゆるやかだ…

ワンナイト・ジントニック

キスもセックスもない、文字通りのワンナイト・ラブをしたことがある。 22歳の5月、金沢。空は快晴で、もう初夏と呼べるくらいの暖かさだった。スマホを取り出して、メッセージを打ち込む。 「金沢つきました」 送信先は、かつて恋にも満たない憧れを抱いて…

トラウマのふりした自我に気づいてしまった

地震が起こった時に、心臓がどくどくとして、泣きたい気持ちになる。症状が起こり始めたのは、東日本大地震を経験してから2年が経ち、私が上京してからのことだった。 大震災が起こってすぐの頃は、余震が起こっても、周囲が驚くほどに冷静だった。電車に1時…

嘘が上手な女の子

沙希は咄嗟に嘘をつくのが上手い。 たとえば、「沙希ちゃんって彼氏いるの?」と誰かに尋ねられた時、「いる」と「いない」以外の答えを何通りも、沙希は持っている。二択の答えしか持たず、それも真実しか言えない馬鹿正直な僕とは正反対だ。そう僕が言えば…