できたてガパオライス

ゆすらの日常。毒にも薬にもならないことばたち。

未開封ナンプラー

 年末頃からゆるやかなタイ料理ブームが続いている。はじまりはガパオライスとグリーンカレー。そこから、マッサマンカレー等タイカレー全般、カオマンガイと変遷を遂げ、今はガパオライスに戻ってきた。ご飯の選択肢にこれらがあると、つい手に取ってしまう。


 ブームは同居人にも伝播し、最近は2人で一緒に食べることも多い。ワクチン接種の副反応で39℃近い高熱を出した私に「ウーバー頼もうと思うけど、ガパオとカオマンガイどっちがいい?」と尋ねてきた時は、さすがに苦笑したけれど。いや食べられるかい。


 こんなブームが来ることはちょくちょくあって、大学の頃はタコライスにハマり近くのタコライスがあるカフェをひたすら回っていた時期や、学食のカレーにハマりサークル前に毎回食べている時期なんかがあった。1年前は確か即席のミーゴレンにもハマっていた。ちなみに学食のカレーは、小鉢の半熟卵やほうれん草をいっしょに頼んでセルフトッピングするのがおすすめ。とろりとしておいしい。


 18歳で一人暮らしを始めてから、自分のためにお金を遣い、好きなものを好きな時だけ食べている。一人で好き勝手生きているようで、その実あらゆるシーンにあらゆる人間関係が存在している。タコライスブームに専ら付き合ってくれたのは週一で勉強会をしていた友人だし、学食のカレーは卒業間近の思い出作りでサークルの同期と食べていた。ミーゴレンは友人とのバリ旅行がきっかけでハマったものだし、タイ料理ブームは前述の通り同居人に伝播した。


 つまるところ、私がこれまでにおいしいものを食べるとき、どうやらそれを分け合える人が常に側にいてくれたらしい。これはしあわせなこと、ご飯は大好きな人と食べるのがいちばんおいしいと私は思っている。


 最近はそんな機会もどっと減ってしまったからだろうか、食事によって得られる幸福感に物足りなさを感じることもしばしば。仕事が多忙なのを言い訳に、コンビニやスーパーの出来合いのものばかりを口にしていることもその原因のひとつなのだろう。定時で帰り、おいしいご飯を自炊して、同居人と同じテーブルで食べる、かつて当たり前に夢見ていた新婚生活の実現はこんなにも難しい。


 ちなみに、このブログを始めた頃に興味本位で購入したナンプラーは未だ封を切られることなく、冷蔵庫の最上段におとなしく立っている。今年中に、これを開ける日はくるだろうか。私のタイ料理ブームが終始食べる専門に落ち着いていることを少しもったいなく思いつつ、それでもこの重い腰はまだ当分動きそうにない。