できたてガパオライス

ゆすらの日常。毒にも薬にもならないことばたち。

溺れる

 しょっぱいポテトをメープルシロップに浸したとき、それは暴力で、だけど臆病なぼくを世界に連れ出してくれた強引なきみの手は、あれはやさしさで、ぼくにはその境界がひどくあいまいに思えた。たのしそうな弟に喧嘩をやめてとは言えないし、真奈ちゃんは首にあざをつけても彼氏が好きだったし、ほんとうは、違いなんてないのかもしれない。だからぼくは、いつかこれも罪に問われてしまうんじゃないかと頭のどこかで考えながら、フォークを突き立てて、またポテトをメープルシロップに沈めてやる。

 

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