できたてガパオライス

ゆすらの日常。毒にも薬にもならないことばたち。

フランス旅行記  vol.1

5月1日(水)雨

 朝から湿度が高く、すっきりしない天気。起きぬけに洗濯物を取り込んで正解だった。昼に外へ出る頃には、最寄りのコンビニへ行くのすら億劫になるくらいしっかり雨が降っていた。

 めずらしいな、と思う。彼女と旅行へ行く日は大抵晴れてきた。晴れ女を自称する女ふたり旅、今回も着けば案外晴れるかもね、なんてメッセージを送りつつ、折り畳み傘をリュックへ入れる。傘は好きではない。折り畳み傘はもっとだ。できるだけかさばらせたくないから少しでも軽く小さなものを選ぶけれど、それはそのまま防御力の低さとなり、自分とリュックどちらもを雨から防ぎきることができない。それでももうひと回り大きな傘を持ち歩こうという気にはなれないし、実のところ必要性もそんなに感じていない。だって晴れ女だから。

 フランスへ行くのは一昨年の年末ぶりだ。今回の旅は、もともと自分の中で区切りをつけるためのものだった。ここ数年ずっとぐるぐる考えている、人生設計。家族を増やす選択肢、増やさない選択肢、増やせる可能性。自分や夫の年齢。まだ明確な答えを出せてはいないけれど、以前ほど「無理」という気持ちはなくなってきた。残っているのは「嫌」という気持ち。この2つはまったく異なる。可能性のひとつとして検討してもいいかもしれないと、思えるようになってきた。

 だから最近は、少しずつ環境や自分の気持ちの準備を進めている。どちらを選んでもいいように。そのうちのひとつが、今回の旅行だった。コロナ禍以前は毎年行っていた海外旅行。一昨年のフランスを皮切りにまた行き出したけれど、もし家族が増えれば簡単には行けなくなるだろう。それは私のアイデンティティにきっと大きな揺らぎをもたらす。だからもしこれが妊娠前最後の海外旅行になってもよいように、一番好きな国へ行くことにした。

 とは言えまだ人生を決めかねているのも事実だし、そんな決意をしてから今まで数ヶ月、その間にもっと海外旅行をしたい気持ちも湧き上がってきたので実際どう転ぶかはわからない。ただどんな道を選んでもきっと自分が不安になるだろうことだけは確かなので、少しでも未来の自分の後悔を減らしてやりたい。

 一緒に旅をする友人は、もう何度もふたり旅を重ねてきた親友で、彼女とする漠然とした悩み話も旅の醍醐味のひとつだ。今回もきっと人生設計の話になるだろう。そのままおそらく答えを出せず眠りにつくだろうことまで見えていて、それでも思考を吐露して共感し合うあの時間が私には大切で、必要なものなのだと思う。この旅行の中で、どんな会話が交わされ、どんな思考や感情の動きが生まれるのかたのしみだ。

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