できたてガパオライス

ゆすらの日常。毒にも薬にもならないことばたち。

いつ飲んでよいのかわからない解熱剤

 12月の頭に、そういえば今年の初詣で引いたおみくじは凶だったけれど全体的にいい一年だったな、なんて思っていたところ数日後にひどく体調を崩した。基本的に健康体なので、滅多に風邪を引かない・熱を出さない・大病をしない人生なのだが、今回はかなりひどかった。39.X℃というここ20年ほど見なかった高熱に、鼻づまり、痰、関節の痛み、喉の痛み・・・・・・。久々の体調不良、何をどうすればいいのかすっかり忘れてしまっていて(あるいは前に高熱を出したのがまだ実家にいた頃だったので自分で何かをすることをしていなかったのかもしれない)、ただ寝ているしかできない一週間だった。シャワーで高熱を誤魔化して在宅で仕事をしていたところ、家族と親友に寝ていろと叱られ、上司からは一週間の休みを命じられてしまい、さすがに己のワーカホリック具合を自覚した。お陰様でぐっすり休めた。
 薬局に薬をもらいに行ったとき、「本当は高熱を出して体内でウィルスをやっつけた方がいいんだけどね」と言われながら解熱剤を渡された。なるほどそういうものなのか、と思いつつ帰宅したら、一体いつなら飲んでよいのかさっぱりわからなくなってしまった。今考えるとさすがに38~39℃台になったら飲んだ方がいいだろうと思うのだが、そのときは熱も相まって頭がうまく働かず「高熱を出さなきゃ」という意識が先行して薬を飲めなかった。翌日飲んでみたところ、その後数時間は熱も引いて身体のだるさも低減したので、そこからはあまり我慢せずに飲むようにした。
 鼻は療養中ずっと詰まっていた。最初の数日で鼻をかみすぎて肌が荒れてしまったので、ちょっといいやわらかなティッシュを買い、ずっとそれで鼻をかんでいた。鼻呼吸ができないのに、たまに痰が絡まって口呼吸もできなくなったので、死んでしまうんじゃないかと怖くなった。息を吐いても吸っても絡みつく痰に悶えながら、深夜に何度か床を殴ってしまった。階下の方々あの時はごめんなさい。恐怖心のあまり朝方の4時5時に親友に「しぬ」とだけLINEを送った。比較的朝が早い上に最近は中途覚醒に悩まされているらしい親友、そのどちらだったのかはわからないが割かしすぐに返事をくれ、弱音をたくさん吐かせてもらった。そのまま今の病状や食欲のなさを伝えたところ、数分後に「粉のアクエリとウィダー送ったから!」と連絡がきた。やさしさと行動力に感動し、ひとしきり崇めたあたりで幾分か鼻詰まりが軽くなってきたのでようやく寝入ることができた。親友の来年の運勢は大吉間違いない。
 数か月前に別の友人が高熱を出して、シングルマザーなのに母娘で共倒れしてしまったのでとてもつらそうにしていた。「必要なものがあったら言ってね!」と連絡しつつ、他人を頼ることが苦手な彼女が私に何かを頼むことはおそらくないだろうとも思っていたし、実際彼女からの依頼はなかった。本当に心から力になりたいと思っているのに、結局私は声をかけるだけで何の役にも立てていない。そんな連絡している間にも物を買って届けたらいいのにと、そのとき後悔したのだった。思い立ってやはり無理にでも物資を届けようと日時を提示してみたときにはもう、彼女は実家に救援を依頼していて、結局私の出番はなかった。「こうして声をかけてくれるだけで本当にうれしい」と彼女は言ってくれたけれど、それは私を思って言ってくれた慰めに過ぎなかった。
 と、思っていたのだが、いざこうして自分が体調不良に陥ってみると、声をかけてもらえるだけで本当にとてもうれしいということがわかった。私の体調不良を知った何人かが連絡をくれ、「必要なものあったら連絡してね」「さみしくなったらいつでも連絡してきていいからね」と言ってくれて、それが本当に心強かったしうれしかった。もちろん、親友のように実際に物資を送ってくれたのもとても助かったし感動したのだけれど、声をかけるだけの行為が何の役にも立っていないわけではないということを、私は身をもって初めて知ったのだった。
 非常につらい一週間だったけれど、こうした気づきもあり、休養もしっかりとれたので、結果オーライな体調不良だった。とはいえ来年は健康に1年を過ごしたい。あと数日全力で働いたら、年末年始は自分を労わりつつのんびり過ごそうと思う。

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